ホピ子製作日記:公開 #05

 2023年もあと数時間となりました。
 2022年は埋めたいほど忘れたいって言っていたほど大変な年でしたが、今年はその2022年を上回る悲惨な年でした(^^;

 ただ、今年に関しては忘れることができないくらい衝撃的なシーンが脳裏に焼き付いています。8月、ホピ子が炎上してしまった後、今日までいったい何回諦めようと思ったのか数えきれません。一度も「諦める」とは口に出したことはなかったけど、だからなのか、夢にも出てくるし、眠りは浅く、ずっと頭から離れない時間が何ヶ月も続きました。でも12月に入ってくらいからかな、、、身体も心ももう限界だって思って、いったん今の現況を受け止めてみようと。すなわち、「昭和のプライベーターが生き残る環境はない」という現実を受け止めようと思いました。非常に辛いけど、情熱だけでは通用しないんだなってことを認めるしかなかったんですね。でも、そのことを受け入れることによって、身体も心もすごく軽くなりました。寝れるようになったし頭痛もなくなってきて、いったん白旗上げたことによってまずは正常な状態に戻ることができたんじゃないかと思っています。

 それからは、会う人会う人に「顔色良くなってきたね」「元気そうでよかった」と声をかけてもらうので、以前は相当具合悪そうに見えていたんだなって思います。開き直ることができたおかげで色々と頭も心も整理ができて、「どうするべきか」ということも明確になってきました。

 そもそも、私がレース活動をしている趣意は「若い職人が育つ環境をつくること」です。それがスーパーGTに参戦している一番の理由ですが、その私がやりたいことにたくさんの仲間やサポーターが支援をしてくれています。そして今回ホピ子が炎上してしまったことで、更にモータースポーツファンの皆さんから沢山の支援をいただきました。私がやりたいことをこんなにもの多くの皆さんに支えて頂けているということが、諦めずにやり続ける勇気となっています。その皆さんからの期待から逃げることだけはできません。ですので、やれる限り、「若いみんなが自ら作ったクルマでレースに参戦する」という活動趣意からブレずにやり続けていこうと思います。

 本当に悲惨な、辛くて苦しい思いばかりがつきまとっているこの数年ですが、自分にも自問自答している時間が沢山ありました。その中でやり続けるに至ったのは、やはり皆さんへの感謝でしかないです。やめれば楽になれる。やめれば時間もたくさん作れて自分のことに費やせるって、頭の中ではもう一人の自分がつぶやきます。でも、ここまで大好きなレースをいい仲間と一緒にやれることができて、大変なことはたくさんあるけど何だかんだで幸せだなって思うことができるから、最後には皆さんへありがとうの思いをお届けするためには何をすべきなのかなって考えに至ります。そして、やっぱり自分はレースでお返しするしかないんだなって、そういう結論になっています。何だかんだ、最終的なアウトプットは常にポジティブな気持ちになれることが本当に恵まれていると感じます。皆さんがいてくれるおかげです(^^)

 それからもう一つ。土屋春雄が残したガレージやスタッフ、そして歴史。それを背負ってこれまではやってきたように思いますが、色々と経験してこれたおかげで、そんなもんを背負っていたら自分が潰れて倒れちまうっていうことに気づきました。自分自身がどん底に落ちたおかげで浮上するには“自分らしく”身軽にいかないと続けることができないなって。親父のやってきたことを繋げるためにも、自分が倒れちゃったら意味ないなって思ったんで、情熱だけで突っ走っていったら足をすくわれるし、とにかく生き残ることを第一に考えてしっかりと土台を作っていこうといま現在は思っています。

 最初に、昭和のプライベーターが生き残る環境はないって書きましたが、そこには白旗をあげました。でも諦めたわけではないですよ。その環境がないなら作るべく活動はしています。お金が必要ならば、事業をして稼ぐことにTRYをしています。昭和が生き残れないのは時代のせいではないですよ。必ず原因や要因はあります。それらをちゃんとキャッチした上で、我々の価値観が生き残れる術を模索し、構築していくべきだと思います。すぐにはその環境を作ることはできないと思いますが、1mmでも近づいていくことが大事だし、諦めない限り、同じ想いを持っている仲間が集まってきてくれる。大きな資本はないけれど、我々には仲間がいてくれることが一番の力となってくれるので、がんばる理由になってくれています。

 そう思うと結局、我々には“情熱”でしかないんだと気づかされます。こんな生き方もあっていいんじゃないかって、そう思います。白旗あげたのも、結局また戦うため。エネルギーを蓄える為の、いったんリセットです。

 2023年は私にとって色んなことを気づかせてくれた“重要な年”になったと思います。忘れられない大切な年です。この経験をしっかりと消化し、次のステージへの成長に繋げていきたいと思います。

 今年を支えて下さったすべての皆さん、本当にありがとうございました。一緒に戦ってくれたみんな、ありがとう! これからもっと大変な世の中になるかもだけど、逞しく生き抜いていこうと思います!! 来年も一緒に戦って下さいね~、生き抜こう!!

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